ピーク・エンドの法則

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UI・UXエクスペリエンスピーク・エンドの法則

User Experience - 2019.1.5 - Three Philosophers

行動経済学で著名なダニエル・カーネマンのピーク・エンドの法則を見ていきましょう。ピーク・エンドの法則は、とある体験中に「感情の起伏が最高点に達した時」と「体験の終わりに近い時間帯の感情」で一連の体験そのものを評価してしまうという、人間のバイアスを扱います。

美容院での出来事:帰宅まで

美容院に行くという体験からピーク・エンドの法則を考えてみましょう。
家を出ると、美容院までの道のりはものすごく風が強く、寒さが身にしみました。美容院は初めてのお店ですが予約済み。お出迎えは無難な接客。シャンプー時に頭をポンポン叩かれるのが少々不快だった。調髪時の技術、コミュニケーションは無難で予定通り終了。支払い時はオススメのトリートメントも購入したので6000円越え。店舗ビルの入り口を酔っ払い二人が塞いでいて迷惑だった。帰宅後、購入したトリートメントのレビューを様々なサイトで確認したところ高評価だった。

人は、ピーク時と最後の体験を評価する

ピーク・エンドの法則

予測可能で平均的な出来事は、体験としてはあまり記憶に残りません。予測や希望に反すこと、例えば、女性店員のシャンプーが頭に刺激があったことは「気の利かない床屋の見習いレベルに対応されるのが嫌だから美容院に来ているのに」という思いが作用し、刺激自体は軽度だったものの、嫌な体験として記憶に刻まれます。施術自体が問題なく進んでも、価格に見合ったサービスは当然だという思いからか、体験として大きなプラスには捉えてくれません。後述しますが、驚きや喜びという感情が無いと、体験としての振れ幅は小さいものとなります。

帰り際、年配の方ふたりがビルの入り口を塞ぐように陣取り、地面にゴミを散らかしながら酒を飲んでいたこと。これは完全な想定外であり、強烈に不快感を覚えます。これがピークの経験になり、さらにエンド期にも含まれていることから、美容院という体験自体がマイナス評価になるのは決定的です。最後の最後で、勧められるままに購入した商品のレビューが高評価だったことに気をよくしたことも重要で、どちらかというとマイナスの体験だった美容院に一定の評価を与えることに繋がります。このように、人はピーク期とエンド期の体験を大きく評価します。

マーケティング理論:ピークの維持

多くの起業家を輩出した、ハーバード・ビジネススクールのタレス・テシェイラは、動画広告と感情の関係を調べました。驚きの感情は強く注意を引きますが、喜びの感情ほど長くピークを維持することは出来ず、注意を引くという点においては、驚きの感情が喜びの感情に勝るということでした。注意を引いた後に気をそらせないためには、感情の山と谷の間隔をコントロールし、維持させることが最善だということです。

人間は広告的なものを嫌うそうです。会社のロゴなどが冒頭で出てくるのを嫌うため、まず驚きの感情を起こしてもらい、やや収まったところで、喜びの感情を与えていくと良いということでした。先の美容院の体験では、終わりよければの諺(ことわざ)のごとく、体験の最後が重要になりましたが、広告や営業という、相手にとって完全に受け身の体験になるものは、そのエンドまで見てもらう工夫が重要になります。会社のロゴなど、広告の中でも、さらに広告性の強いものは尺の最後でも良いということですね。

まとめ

たしかにピーク・エンドの法則は、人間の感情によく当てはまるなと思いますが、普段の生活で、「何となく嫌な一日を積み重ねているな」と感じている人は、一日の中の体験をよく振り返ってみると良いと思います。先の図における感情の起伏にも、体験者の主観が大きく関わっていましたが、実は良いことも起こっているわけで、それにバイアスをかけて過小評価し、悪いものばかりをピークにもってくるのは損な生き方だと思います。
人間は感情の生き物だということですね。こういった心理学のトピックを学ぶと、自分も含めてですが、起こりくることすべてに一喜一憂しているんだなと感じます。マーケティング技法と合わせて、常に認識しておきたいですね。