UX戦略と組織改革

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UXデザインEX向上プロダクトデザインと組織論

Organization - 2020 - Three Philosophers

今回はプロダクト開発時における組織(チームビルディング)のあり方を考えてみよう。チャールズ・ダーウィンは「長い人類の歴史においては、協力することを学び、最も効率的に改善を行った種が繁栄してきた」と述べているが、実際の現場はどのような体制(組織)で行われているのだろうか。プログラミングスキルだけでは良い製品は作れないし、デザインスキルだけでも良い製品にはならない。やはり人と人を結ぶ組織構造、そして先進的なデザイン手法の実践が肝要なのだ。処方箋的な意味合いも込めて、いろいろ書いてみることにする。

経営陣のプライドと反比例する能力値

売れない製品を売ろうとしている会社の特徴としては、社長や副社長のコミュニケーション能力が低く、経験が不足していたり、 その手前の役員が経営手法(組織構築・運用)そのものを自分の保身のために最適化してしまっていることが多い。

経営する側であるならば、経営に必要な数値設定はもちろん、部署を作り配置した人材が何を生み出すのか、組織としてどのようにつながっていくのかをしっかりと把握しよう。つい最近、マーティ・ケーガンの「INSPIRED」を熱心に読んでいる若いマネージャーがいたが、とにかく言うことすべてがハズレの子だった。経験を積まないと師事すべき対象の評価・選別はもちろん、組織の構築などは覚束(おぼつか)ないのだ。また、安易にコミット力といった言葉を用いる人材なども細部まで観察が必要だと思うし、人間性と具体性の両面を重視した人材登用やマネジメントを心がけよう。

数字を追うことは重要か:目標設定

ROI(Return On Invesment:投資利益率)、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)といった数値(指標)系についてだが、実はこれを前面に出すとデメリットも生じる。受け手にすると圧迫感があるし、コミュニケーション体制が中途半端だと、チームに不和や軋轢が生じたりもする。製品を良くすれば自ずと「売りたい」「長く使ってもらいたい」といった目標は達成されるわけだから、目標の数値化が(必要なしとまでは言えないまでも)あまり意味を成していないことも多いのだ。業界全体に言えることだが、既成の経営思想をそのまま取り入れても完全にフィットはしないわけだから、フレームワークは適宜カスタマイズしながら作り上げていこう。

LEAN、アジャイル工程の検証とUX戦略

さてここからが制作工程である。通常プロダクト開発は、トップ→役員→マネージャー→各技術者と意思決定や実際の仕事が流れていく。そのため技術工程は会社が用意すればよいだけの話なので、戦略決定後のハンドリングはそうは難しくないのだが、製品開発が上手いことアジャイルLEAN工程に落とし込めていない現場が多い。ここでも引き続き問題になるのは「知見」や「経験」の部分だろう。プロダクトのどの部分を開発・デザインするかの決定は、簡単に見えて一筋縄ではいかないものだ。

UXデザインの世界で取り上げられているいくつかのアプローチは大きな効果を生む。世間的には未だ「たんなる一つのデザインカテゴリ」と捉えられている向きもあるが、これらは経営基盤に据えるべき強力な手法である。以下に組織に導入すべき手法を列挙してみよう。

リスト化すると地味な印象を持たれるだろうが、これらすべてを順序だって実践(施策化)すれば製品は必ず良くなる。ここで得たファクトをもとにバックログ化すれば、(LEAN開発やアジャイル工程における)各イテレーションごとに進行するプロダクトの成長スピードが加速し、それがそのまま会社の成長に繋がるだろう。ここは大きな対価を求めたいが、本ページでは戦略・戦術に関してはこれ以上の言及はせず、別途ページを設けて詳細に解説を行うこととする。

現在や未来を"象徴"するものを見つけよう

組織と工程が整えばいよいよフレームワークは完成であるが、組織構築や戦略の策定が終わった後も、本質(事業のコア)部分とは向き合い続けなくてはならない。私は象徴という言葉が好きだ。たとえばプロダクトデザインの世界ではナビゲーションがそれにあたる。一般の方からすると、ナビゲーションなんて「昔からあるもの」と軽んじてしまうだろうが、実際のところは、ボタンの出来ひとつに会社の行く末が映し出されていたりする。経営者はそういったどこか目立たないような「象徴」に気付いていく必要がある。無論、フレームワークそのものが整えば多くの人が「象徴」に気づくようになるし、課題はより密度を持つようになるだろう。神は細部に宿るとはこのことである。

まとめ:フレームワークという言葉

そもそもフレームワークとは何だろうかを考えながら、本ページのまとめとしてみたい。たとえば「高尚」と捉えられることも多いクラシック音楽も、実はアレグロとアダージョというたった二つのフレームワークに支えられていたりする。ようは早いか遅いかという二つの単純な命題をハンドリングするだけの世界である。語弊を恐れずに言えば、少しくらい音がハズレてしまっても許容されるし、それが勢いとなって良い音にすら聴こえる時もあるのだ。ところが、上野のクラシックコンサートなどに足を運んでみると、時代を遡った小規模のシンフォニーでさえ、キレもなく重たい演奏が多い。経験、理解、センス、指揮系統と様々な問題もあるだろうが、これはプロダクトデザインの世界でも同様で、ずいぶんとハンドリング下手な人が多いなと感じているし、デザインチーム単体で見てもバランスの悪い人材は少なくない。特に経営のパートナーやリーダークラスの人材を探すときは、お酒の席を設けるなどして、しっかりと深い部分も見てみよう。