Color Scheme - 2018 -
モノクロ配色はベースになる単色の、彩度、輝度の差で表現する配色です。英和辞書だとmonochromeを白黒とも定義されていますが、デザインやアートの世界では単色展開と覚えましょう。陰影、濃淡、トーン、tints、shadesなどモノクローム配色関連の用語は様々です。
少々ややこしいですが、前述のようにモノクロは単色という意味ですので、白黒やグレースケールと区別して考えましょう。音楽でも単旋律のことをモノフォニーと呼んでいますので、合わせて覚えると良いかもしれません。もっとも、色の相対性からすると彩度よりも輝度(明度)の変化のほうが影響は大きく見えますので、白黒というキーワードも機能的にはヒントになるような気もします。
また、色相を統一し、ほんの少しだけトーンに差をつけて表現するカマイユ配色、カマイユ配色の色相の範囲を隣接色相に広げて(±1)トーンの差もやや明瞭にすることができるフォカマイユ配色など、モノクロ(単色)配色とアナログ(類似)配色の中間に位置している配色もあります。
Plaster Cupid - 1867 -
セザンヌの作品。石膏の像をほぼモノクロ配色で描いています。ブルー系の単色配色ですね。右上の淡く弱い色彩とのコントラストも良い感じです。非常に少ないタッチですが、明度と彩度の違いだけでも質感が表現できるというお手本のような作品です。
ピカソは、「青の時代」にブルー基調の作品を残していますが、その時代の作品群は(ほぼ)モノクロ展開と言ってもよいでしょう。
コンポジション作品の極みである「アビニヨンの娘たち」がすぐ後に登場することを考えますと、この時代に実験を繰り返しながら濃密な研鑽を重ねていたことがうかがえます。
ピカソが「青の時代」に抱えていたような苦悩を、AIが描き出す日は来るのでしょうか。今回は感情面というよりは「空気感」を表現してみました。
AI-Generated ArtWork - Prompted by
昔の色彩研究では、Hue(色相)・Saturation(彩度)・Brightness(輝度)の相関関係を立体的に捉えたりして、その理解にはとても苦心していたのですが、現在はコンピューター社会であり、各種ソフトウェアなどの発達により、(視覚的にRGBやCMYKの値を扱えるようになったのに加えて)HSBの値の操作や理解もとても楽になりました。
もしも、ピカソの時代にPhotoshopが存在していたら、「青」か「バラ色」の時代のどちらかがなくなっていたかもしれませんね。