芸術とデザイン | 赤色(レッド)の持つ力と特徴

色彩理論レッド色彩理論:赤色の考察

Color Scheme - 2018 - Three Philosophers

赤は情熱の色というイメージがありますが、トーンによっては純粋なエネルギーだけを感じさせる色にもなりますし、興奮や危険性といったネガティブな要素が際立つ色にもなります。

波長域

波長
380nm~450nm
450nm~495nm
495nm~570nm
570nm~590nm
オレンジ 590nm~620nm
620nm~750nm

色彩理論:カラーチャート

全体的な色相のうち、赤と認識しうる範囲は広いので、トーンの差で現れてくる性質も理解が必要でしょう。 濃い色だと洗練された状態を表し、明るい色だとエネルギーは増しますが優位性は低下します。

赤色の効果

ポジティブ 情熱、愛、暖かさ、気力、興奮、強さ、刺激、物質的、勇気
ネガティブ 怒り、反抗、攻撃性、危険

情熱もその度合いが強いと怒りにも反抗にも繋がります。人間の感情と同じく赤の持つ機能も様々に変化するようです。

名画の中の赤色 ベックマンの作品の場合

ベックマンの絵画 トリプティック

Triptych of the Temptation of St. Anthony - 1937 - Max Beckmann

ドイツ表現主義を代表するマックス・ベックマンの作品。ベックマンは危機を予感させるような深い赤を局所的に配置して強い印象を与えています。ここでの赤は支配・優位性を持った強い赤です。

名画の中の赤色 マティスの作品の場合

マティスの絵画 赤のハーモニー

Harmony in Red - 1908 - Henri Matisse

マティスの有名作品の一つ。タイトルの通り(比較的ライトな) 赤で画面全体を覆っています。色相的にはレモンの黄色、窓枠のオレンジ色に続く段階的な色としての赤でもあります。優位性よりも全体との調和を意識した赤なのでしょう。それこそすさまじいレベルのハーモニーです。椅子のフレームなどで使われている茶色がこのライトな赤の機能性をさらに向上させています。

名画の中の赤色 マティスの作品の場合 その2

マティスの絵画 プラムの花

Plum Blossoms, Green Background - 1948 - Henri Matisse

マティスは赤い色を画面上で支配的に用いることが多かったのですが、傑作「赤のハーモニー」から40年を経ても愛情は変わらず、子供のように描きなぐっています。こんなに涼しげな赤があるでしょうか。晩年は物思いに沈むことが多かったそうですが、その作品は今もって表現家を励ましてくれます。

まとめ

赤色(レッド)はハートマークで愛情を表現することも出来ますし、血液などが連想されることから危険を表すことも出来ますので、幅広い用途があります。視覚的インパクトが強いので何らかのサインとしても最適でしょう。不快さを与えないような使用を心がけましょう。