フィッツの法則

UI・UXインターフェースフィッツの法則と操作性

User Interface - 2019 - Three Philosophers

フィッツの法則は、インターフェース・デザインにおける、ユーザーの操作領域や、操作対象となるボタンへのアクセス性を明らかにしてくれます。

フィッツの法則の公式

フィッツの法則

上に示されているのは、フィッツの法則を示す公式のうち、ヨーク大学のスコット・マッケンジーによる、より堅牢な公式です。動作時間には、対象となるオブジェクトの中心までの移動距離と、オブジェクトの大きさ(例えばボタンのサイズ)が影響します。

スクリーンや周囲の状況も考慮する

フィッツの法則とスクリーン及びボタンと移動距離

フィッツの法則において、良く語られることの一つに、目的となるボタンの位置や周囲の状況があげられます。左側の例では、ボタン上部に(タブなどの)オブジェクトがあるため、制御が働き移動速度が遅くなります。これに反し右側の例では、操作対象のボタンの上部がスクリーン外になるため、移動速度が速まり(a+bが短縮され)、操作が快適になります。

macOSに搭載のホットコーナーは、フィッツの法則の観点からすると、ユーザーのストレスを軽減させる素晴らしい機能です。ホットコーナーは、画面の四隅にマウスカーソルを移動するだけでスクリーンセーバーが起動するといった仕組みで、今後拡張的にほかのアプリケーションや細かい操作にまで対応されることが期待されます。

インターフェースデザインの鉄則の一つに操作ステップを減らすというものがありますが、ボタンが大きくなることでストレスが軽減されれば、ステップとして意識することはなくなるでしょう。時に大胆なデザインも必要です。

スマートフォンとフィッツの法則

スマートフォン操作における親指の可動領域

スマートフォンにおいては、指の可動領域なども考慮に入れる必要があります。例えば、Apple社の製品ですと、iPhone8までは画面上部へのアクセスがきつかったですが、iPhoneX以降のモデルでは、スクリーン下部にもアクセスが容易ではない箇所が存在します。ユーザーの操作状況にも依存しますが、
クリティカルな操作オブジェクトを配置する際には、ポジションを考慮しましょう。

まとめ

単純にフィッツの法則の公式に当てはめて、動作時間を短くすれば良いというものではありません。スマートフォンでは(画面領域が限られてきますので)ボタンを大きくしただけではポジティブな結果にはならないでしょうし、(その逆に画面領域の広い)PCでは劇的な効果を生むこともあります。デザイン性やユーザーのフィーリングも考慮に入れながら、最適なインターフェースデザインを行いましょう。