タイポグラフィ | 書体:Trajan

デザインフォントファミリータイポグラフィ:トレイジャン

Typography - 2025 - Three Philosophers

Trajanはトラヤヌス帝の戦勝を祝う記念柱に彫られていた文字を再現した書体(フォント)です。
柱自体は35メートルの高さを誇り、2,662人の人物と155の場面が描かれていますが、この書体の元になったのは柱の基部にある碑文で、そこには6行ほどの短い文章でトラヤヌス帝の身分や土地に関する内容が刻んであります。
完成は西暦113年ですので、およそ2000年の歴史を持つ書体ということになりますが、現代にあっても輝きを放つ魅力的なフォントです。

さて、トレイジャンは無地や小さなスペースでも活躍する HelveticaSan Franciscoなどとは対極にある存在で、一文字一文字で深い印象を与える用途に向いています。このページでは実際のデザイン事例などを紹介していきます。

Trajanの種類

フォント名 ウェイト
Trajan Pro Regular レギュラー
Trajan Pro Bold ボールド
Trajanフォントの比較

デザインの肝要にも繋がる部分ですが、格調高いTrajanも全ての文字が幅広なのではありません。見本をご覧いただくと一目瞭然ですが、CDとEFでは全く幅が違います。ゆとりを持たせるべきところは持たせ、締めるべきところは締める、ここがポイントです。

Trajanは、残念ながらMac Osにはバンドルされておらず、上のテーブルデータおよび、フォント見本はCS時代のAdobe製品にバンドルされていたもので作成しました。
現在Adobe FontsではEXTRA LIGHT, LIGHT, REGULR, SEMIBOLD, BOLD, BLACKの合計6ウェイトが利用可能です。
書体の特徴を決定づける要素のひとつであるセリフの無い「Trajan Sans」なるバリエーションも公開されていますので、気になる方はチェックしてみてください。

Trajanのデザイン事例

Trajanは、ラファエロのすました自画像のように、高い技術の中にも一種の冷徹さのようなものも感じますが、格調やブランド感の醸成においては、白眉な書体(フォント)です。

Trajan(トレイジャン)の使用・デザイン例

Trajan(トレイジャン)のブランディング事例

TrajanはチョコレートのGODIVAなどに採用されています。

Godiva ゴディバチョコレートとtrajan トレイジャンフォント

店舗は六本木のプレッセプレミアム。フォントの効果か、高級でおいしそうに思えてきますね。(場所柄か)レジ前にこういった棚を置き、軽く「ポチって」もらう算段でしょうか。書体のゴージャスさも手伝い、取引効用に大きく作用しそうです。

まとめ:トレイジャンを収(納)めるハコ

実はこのサイトでもブランディングフォントとして採用していますので、(レスポンシブ・デザインですので)PCでアクセス頂くか、モバイル端末を横にしていただいた時のタイトルロゴなどでTrajanを使用したデザインの一例を確認して頂けると思います。

ブランディングの鍵になるのは「」や「フレーム」でしょうか。記念碑にしても、ウェブサイトにしても、お菓子にしても、まずは高級感を演出するパッケージが必要なのです。そこにTrajanのようなフォントを置いてあげると、シャキッと全体が引き締まるんですね。