Typography - 2025 -
フランス語で未来という意味をもつAvenir(アヴェニール)は、同様にラテン語で未来をあらわすFuturaの対抗馬として製作されました。
国内では(私も一時期制作に関わった)JALなどに採用され、その後iOSにもデバイスフォントとして組み込まれていました。
Helveticaと比較しますと理路整然とした感は薄れますが、可読性に優れながら洗練されたフォントに仕上がっています。使用例(実際のデザイン事例)にも示しておりますが、ヨーロッパではとても人気のあるフォントであるというのも頷けるような気がします。
フォント名 | 種別 |
---|---|
Avenir | オリジナル版 |
Avenir Next | 2004年の改良版 |
Avenir Nextは品質改良版で、幅広いウェイトとCondensed(コンデンス)体が加わり(無印のAvenirと比べまして)さらに表現の幅が広がりました。Mac搭載のデフォルトフォントでも、Regular, Italic, Ultra Light, Ultra Light Italic, Medium, Medium Italic, Demi Bold, Demi Bold Italic, Bold, Bold Italic, Heavy, Heavy Italic他とバリエーションに富んでいます。
無印のAvenirのほうも、(同)Book, Roman, Book Oblique, Oblique, Light, Light Oblique, Medium, Medium Oblique, Heavy, Heavy Oblique, Black, Black Obliqueと種類が豊富です。
五十音順で並べますとこのAvenirが最初のフォントになりますので初歩的な知識をご紹介しておきますが、オブリーク体は、ただ物理的に斜めに傾けたフォントで、イタリック体は同じ斜体でも手書き風の最適化が施されたフォントになります。
アベニールの使用例を見ていきましょう。
Avenirはウエイトが増すと表情が大きく変わります。以下2、3枚目に示したデザイン事例では(無印のAvenirの)4種類のウェイトを使い分けていますが、その名の通り"未来"志向を表現できるか、中途半端で終わるかは、組み合わせ次第です。
前述のように、Avenir Nextの登場で(Bold以上のウェイトにより)かなり力強い表現も可能になりましたので、上イメージのようなファッション系雑誌の表紙などにも(ケースによっては) 使用が可能でしょう。また(下に示しましたように)、スマートフォンのアプリなどでの使用におきましても、可読性とデザイン性の両面を追求することが可能です。
印刷物などではフォントを組み合わせて用いることが多いですが、Avenirや対抗馬のFuturaとの相性が良いと言われているのが、Bodoniなどのモダン・ローマン体です。逆にヘルベチカはFuturaとは相性が良くないと言われています。
また「Avenirのデザイン例」で示しましたように、同一フォントのウェイトを変化させながら組み合わせていきますと、格段にデザイン性や可読性(視認性)が向上しますので参考にしてください。