芸術とデザイン | トライアド配色

色彩理論トライアド配色色彩理論:トライアド配色

Color Scheme - 2018 - Three Philosophers

トライアドは3色構成の配色です。色相を単純に6つに分割した場合、青、黄、赤からなる3色配列がもっとも強烈で、各色を結ぶ線が正三角形を形成します。トライアドは音楽用語では3和音を表し、例えば、ド・ミ・ソのCメジャーコードであったり、レ・ファ・ラのDマイナーコードであったりと、明瞭な響きと表情を持ちますが、配色における効果もそれと同様で、3色になることではじめて芸術性を帯びてくるような気がします。

色彩理論:カラーチャート

通常の正三角形型のトライアド配色です。色相環を6分割したとき、ひとつおきの色相範囲から色を選択します。コントラス感が強いとトリコロール配色と呼ばれることもあります。

色彩理論:カラーチャート

各色を結ぶ線が二等辺三角形を形成するスプリット・コンプリメンタリー配色 も有名です。これは補色の色を2つに分割して作成します。ダイアード配色の発展形とも考えることができます。分割した2色両方を使わなければいけないということもなく、片方のみ使った2色構成でも問題ありません。もちろんその際はトライアド配色ではなくなります。

色彩理論:カラーチャート

スプリット・コンプリメンタリー(補色分割)配色に似ていますが、補色同士で色域的に使い色を混ぜ合わせるコンパウンド配色も有名です。4色以上になることもありますが、それはほかの配色も同様です。

名画の中のトライアド配色 ボッチョーニの作品の場合

マティスの絵画 少年のゲーム

States of Mind II Those Who stay - 1912 - Umberto Boccioni

イタリア未来派を代表するボッチョーニの作品。画面左の小さな赤、左半分の青、中央上部の黄色のコントラストが強烈です。2次色(緑、オレンジ、紫)であるグリーンの割合も高いですが、表情を持つ緑が、青や黄色(時代や文明)に翻弄されるという優位性の低さのようなものを示しているとも言えますし、赤青黄によるトライアドの機能で、画面が重たくなりすぎることを抑制する機能を果たしているともいえます。

名画の中のトライアド配色 キルヒナーの作品の場合

キルヒナー 駅と汽車の絵画

Koningstein Station - 1916 - Ernst Ludwig Kirchner

キルヒナーがドイツ美術界の巨匠の一人であることは疑いのない事実ですが、彼が生涯を通じて残した作品群から感じるのは、絶対的な計算に基づいた配色というよりも、どこか無造作に、子供のこころのまま塗りたくっているような純粋さです。
この作品では、(右上と左下の)赤と黄色のコントラストをうまく利用しながら全体のバランスを制御しています。ドイツ表現主義でありながら、ポップな印象があるところも、彼の作品が多くの人に親しまれた理由の一つでしょう。

名画の中のトライアド配色 モンドリアンの作品の場合

モンドリアンの絵画 コンポジション

Broadway Boogie Woogie -1942-43 - Piet Mondrian

モンドリアンの最晩年の作品。赤、青、黄色のトライアド配色です。よく見るとグレーも混ざっていますがリズミカルで素晴らしいコンポジションです。モンドリアンには色の無い作品もあります。色をどこに配置するかということも大切であり、モンドリアンはその点でも優秀だったと言えますね。「最後の勝利に向かって」とは彼の言葉ですが、世を去る間際にこのようなポジティブな輝き、表現家として憧れるところです。

まとめ

トライアド配色は、とにかく印象が強く画面が引き締まります。ただ、モンドリアンの作品のように、デザインや芸術作品には構成力も必要ですので、単純に3色使えば良いというわけではなく、しっかりと構成力を身につけ、モンドリアンのようなコンセプト色の強い作品を除いては、緑などの2次色の使い方も向上させる必要があります。