Portfolio - 2025 -
このページでは、プロダクトデザインの現場で感じてきたことを、ポートフォリオ的な意味合いもかねて語ってみたい。
本質的に描写したいのは「グロース現場の問題点」ではあるが、自分自身のプロダクトデザイン系統のスキルの成長記であったり、心情の吐露であったりと、様々な要素を織り交ぜながら、(書籍化なども見込んで)長編での構成を考えている。
所々、捉えどころがないようにも思えるかもしれないが、技術や人材の核心にも触れていく予定だから、様々なレイヤーの方々にそれなりに響くだろう。
先ず、社会人デビュー後にかなりの解像度で見ることになったのは美術業界の人間模様。自分は芸術家(アーティスト)としてカッコよく生きていく予定だったので、業界の(誰々がある程度の権力をもっているだとか)仕組みのようなものを高い解像度で見ていく必要があった。(いわば、評価され、認知されるまでのルートのこと。ここらあたりはグロース案件と同じだろう。)
本ページではこの頃の生々しい詳細部分には触れないでおくけれど、この期間に見たことを端的に語るならば「彼らが売ることに躍起になっていたのは、本質の伴った"作品"ではなく、自分が目をかけた"人"であった」という現実だ。
この人間の持つ本質的な部分は所々で描写していくが、若い子に伝えたいのは「こだわりを捨てる」ことの大切さだろうか。そして「長いスパンで本質を見失わずに生きていこう」ということだ。
テクニカルの面でこの時期に「何をやっていたのか」といえば、ひたすらCTA(Call to Action)系の訓練をしていた、ブランディング能力を養っていた、全体最適能力を培っていた、ということになるだろうか。例えばこの時期に学んだ(習得を目指していた)ものの一つに、ハンス・ホフマンの「プッシュ・アンド・プル理論」というものがあるが、あれなどは立体的なコンバージョン性能の最適化とでも言い換えられるだろう。
サイト内の様々なページでもあれやこれや書いているが、私の専攻していた抽象表現主義の深みを考えると、この頃の経験が、この後のキャリアにおいて(ブランディングの大きな要素である)LPデザインやインターフェースデザイン、情報アーキテクチャ分野のスキルの(高い次元での)獲得に繋がっていったと思われる。
近年、大手デザイン会社のアウトプットなどを見る(ディレクションに関わる)に、なんと素養のない方々に大手企業は大きなお金を払っているのだうか、ということを痛感するのだ。
デザインの基本である、パディングや色彩が甘く(締まりがないからCV性能、インプット性能共に弱く)素人レベルのものが多い。(もちろんUX面も然りだ)
「デザインはデザイン会社に発注するもの」というシンプルな図式が崩壊するのだけは、日本経済という大きな括りで考えてもあまりよろしくない。
→プロダクトラインの画期的なコンサルティングサービス:BeauPoint(ビュー・ポイント)
もうひとつ付け加えるならば、アーティストといっても世の中の情報をシャットアウトして生きているわけではない。むしろ通常の人よりも高いレベルで
それこそこの頃は芥川賞を受賞しながら音楽をやっている方や、有名プロダクションの作曲家、アート業界の大物の親族の方など様々な方とお会いした。
さらに言えば、デザイナー転身を意識してアルバイトとして籍を置かせて頂いた大手企業では、交流の一環で社に在籍していた海外の製薬会社の御曹司の方と知り合いになり、リアルに交際させて頂いた(定時上がりの二人で意気投合。自分自身驚いてしまうような良縁だった)。
ご縁というものも、小さいもの、大きいものと様々だろうが、アーティストやスポーツ選手は、(最近、大谷選手で注目されている)曼荼羅の構造:機能美のように、共存性や協調性を学びながら、かけがえのない経験を積んでいる方が多い。
個人的には、PdMやCPO、CEO職に就く人材に求められている最大の要素(スキル)は、ビジョンそのものであり、(周りと比較して圧倒的に)見(え)ている世界が違う、という発想力や眼力なのではないかと考えている。この期間にそういったものを養ったことも事実だ。
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アーティストとして活動した後は、デザイナーとしてHR系の企業にそこそこの期間在籍した。思えばこの期間が一番楽しかったように思う。(所属した課や関連する部署の)人もエネルギーがあったし、何より駆け出しのデザイナーにはこれといってプライドもないわけで、機会そのものがとてもありがたく思えた。
もちろん成長期のHR企業はとても厳しい環境も多いだろう。私の所属した課も少数精鋭のある種伝説的とも言える部署だったし、とても優秀に見えた係長も、時折思考が止まることを課長に指摘されていた(その後お二人とも社の大御所レベルに)。だからこそ、若い子には仕事の全てが楽しいなんて想像しないでもらいたいが、私はテクニカルの面で怒られたことがないのである。これは学力や胆力のような要素に依存する部分だろうから、仕事の適性に関しては、一定の期間ごとによーく考えていくことが望ましい。
(時系列的には大手企業→ソニー社案件→このHR系企業本社が正しい。このHR企業からソニー社のプロダクト関連の仕事まで頂いているのだが、話がグチャグチャになるので割愛する。)
そもそも担当した就職サイト(今や超有名)のデザインの仕事自体がそれなりにイージーだったからこそ、それほど困らなかったのかもしれないが、(その後リクルートの運用案件等で、コミュニケーション部分がやや破綻した=前述の共存性や協調性に欠けた:いわばお調子者のデザイナーさんを目にするにつけ、「やはり簡単な運用案件は人を勘違いさせる」と痛感するに至る。)私の場合は勘違いして天狗になっていたわけではないものの、時の経過とともに、自分の性分や独立思考では、下流でのんびり働き続けることがやや窮屈に思えるようになってきたので、この後は自分の技術を高めてガッツリ稼ぐ道に飛び込んでいった。
(通常、こういったタイミングで1発目の挫折を味わうのも道理だが、事は順調に進み、この後数年「空はこんなに青いのか」という、人生においての第2の青春期のようなものが訪れる。)
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その後の成長過程を見る前に、このページの本題である、PdM:プロダクトマージャーに関して一つ確認しておこう。
おおまかな職務としては、ビジネス(戦略)、(SHや人材含む)マネジメントという、PdM本来の仕事に付随して発生しうる職務(この領域は企業によりCPOやVP職が存在していたりとパターンは様々)も存在するが、これぞPdM!という、メインの仕事としては
(1)プロダクトの創造および設計・評価
(2)デリバリーまわり
の二つの職務が挙げられるだろう。
市場に存在するPdM人材のうちの多くは、デリバリーまわり(2)の担当が中心の、いわゆるジュニアPdMである。(デリバリー人材は企業によってはPM職として配置されている。)
個人的には、(1)をしっかり見れる人材を無印のPdM〜シニアPdMと捉えているが、需要に対して人材がかなり不足していることは想像に難しくない。何故か?と言えば、一つには、先に「運用案件で勘違いした人」に触れたが、通常、勘違いまではいかないまでも、一般的な人材では10→100フェーズ(もっというと50前後のゆったりとしたフェーズ)しか経験していないわけで、時にミニCEOとも呼ばれる、本来のPdMが包括する職務に対応できる人材はなかなか育たないという現実がある。
さらに言えば、デザインの専門性に関する部分だ。これほど何となくでも成り立ってしまう専門的分野も珍しい。当然、何となくやってきた人材に成果は出せないし、周囲も無知であれば、原因のありかに気付けない。
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さて、話をPdMのメイン業務に戻すと、(1)には、まず創造というステップがある。いわゆる0→1フェーズである。ここまで「芸術なんて!」とキャリアの遠回り的に解釈していた方々は、芸術=構成=CVR向上=グロース推進といった一つの方程式を教えてもおそらくピンとこないだろうし、 プロダクトグロースの最大の成功事例であるApple社の製品を辿っていくと中世の建造物に辿り着くなんてことも、ほとんどの人が知らないだろう。(ディーター・ラムスのデザインの10原則)
特に最近の現場において名だたる企業出身のCPO/PdMラインの役職の方々が躓いていたのは以下。ササっと30秒くらいで項目化してみた。(それはそれは間髪入れずドンドン出てくる)
(1)仮説立案および共有のタイミング
(2)ワークフロー構築
(3)プロダクト評価
(4)データドリブンにおける手法
(5)CPO、CMO、CTO横軸の連携
(6)情報設計
(1)〜(3)は先に挙げた専門性の部分に起因して雪崩方式的に全てが問題となっていく項目だ。特に(3)はCI:コーポレイトアイデンティティなども含むので、例えば(欧州などでは当たり前のように追求されている)色彩や形状、黄金比などの知識がなければ、そもそもプロダクト自体をブランディングの議論のテーブルにも載せられない。
(4)(5)はビジネス感覚のようなものも含むが、基本的にはデザインが包括する範囲・要素の見極めが大切になってくる領域でもあるので、これもやはりプロダクトデザイン領域の知見が必要である。
(6)はもう基本的な仕事なのだが、全ての根幹となるなるため後でじっくりと語る。
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逆に彼らがよくやっていたのがMTGと競合分析と目標設定(笑)。
笑っちゃイケないが、そこらの草野球チームがドジャースの戦力分析ばかり行なっていても、多くの時間が無駄になってしまう。
おそらくそれを立派な企業で数年〜十数年もやってきたのだろうが、それでは万年○○あるいは、サービスクローズであるし、根本的な問題として、そもそもしっかりとした体勢(体制)でスタートがきれていない(現在のステータスは「1→10フェーズです」と宣言していながら0→1になっていない)という現場も多かった。
さて、ここでいっぺんに詰め込んでも混乱するだけなので、イッパシのPdM人材になるためには、一体何が必要なのか、その後の成長過程を追いながら一緒に考えてみよう。
(正直なところ、AmazonでベストセラーになっているPdM関連の書籍を購入しても多くの企業が欲する答えは載っていないだろう。ここまで読み進めて下さった方ならおよそ想像がつくだろうが、プロダクトグロースの成否は、フレームワークの問題というより人材が培ってきた経験や知見に依存する部分が大きいのである。
マーティン・ケーガンの・・・なんて言っている現場のほとんどが成果を出せていないのだ。それはもう笑ってしまうほどパターン:フラグ化していた。)
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さて、HR系企業を後にしてからは、いわゆるIA(インフォメーション・アーキテクト)系の仕事が多くなっていった。その背景にあったのはエージェントからの「IA領域スキル」への高い評価だった。
先に(そこそこ人事に響くような経歴を重ねてきた方々が)「躓いていた」項目の一つとして、情報設計をあげたが、情報設計=情報のレベル分けや整理というものは、あらゆる仕事につき纏う「(作業の)根幹」であり、情報量が増えてくれば抽象化能力も問われてくるため、経験というよりは地頭(本来備わっている学力)の良しあしが影響してくる。
一つの例として、先に挙げたダメな現場で発生した会計処理ページのレイアウト案件:サブスク契約後のユーザーに2、3情報を表示するだけの初歩的なものを見てみよう。(書籍版にのみイメージ掲載)
担当のPdM(相当の方)は、プロダクトグロースの舵取り云々以前の問題として、このようなごく簡単な情報設計のタスクすら満足に捌けていなかったのだが、皆さんにも適性テストとして、実際に発生した事案と同レベルの問題を出してみることにする。(書籍版にのみ掲載)
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さて皆さんの結果はいかがだっただろうか。
私が経験してきたIA系(情報設計)の仕事としては、JALやKEYENCEのグローバルサイトの構築などが挙げられるが、特に今流行のDX案件やウェブ系の仕事は、何をするにも情報の整理、構成が求められてくる。スマートフォンのアプリ設計、デスクトップブラウザ中心のSaaSプロダクトなども全て同様だ。
レイアウト然り、ナビゲーションがグローバルなものかそうではないか等、縦軸、横軸、いろんな情報がある。一つ一つの情報がそれぞれ様々な強度をもっている。
ここにひとつ( 強引に)マイ・オピニオンを挟むと、「芸術こそ情報との戦いである」ということである。そして実はAIもこの構成〜抽象の世界が弱い。塗りや響き(おそらく一部構成も)は学ぶようだが、ここまでの急速な進化を考慮しても、構成の深淵にはおそらく今後も到達できない。(ちなみにAIの使用に関しては"超"肯定派である。)
例えば、芸術界の巨匠であるピカソやベートーベンは(各々ジャンルは違えど)色彩や音価、モティーフ(という一つの要素、情報)から作品を展開させるなど、その天才的な構成力で歴史に名を刻んできた。あの有名な「ジャジャジャ・ジャーン」という印象的な音の連なりも、その後の鬼気迫る展開・構成も、ドレミファソラシドという全ての人に与えられた、素材、情報を元にしているのだ。
なぜ全く同じ素材を扱っているのに、(皆さんが現場で感じているような)アウトプットや結果に差が生じてくるのだろうか。そこにはやはり各人材の捌き方、設計・構成能力が大きく関係してくる。
本来、大学受験などもこういった部分こそ測りたいのだろうけど、深い抽象的思考の部分は(おそらく)今の教育のあり方では測れない。
例えばコンサルファームの有名どころなども、この抽象と専門性の領域において、質の高いアウトプットを行なっていきたいところなのだろうが、ビジネスも画一的ではなく難化してきているから、いわゆる単なる高学歴のおぼっちゃま達だけでは成果が出しにくくなってきているのを痛感している筈だ。各ファームが(予防的に)そもそもの売り方として、「コミットする」あるいは「寄り添う」姿勢そのものを、前面に打ち出すようになってきているのもそういった現実の表れだろう。
IA(インフォメーション・アーキテクチャ):情報設計に関してはこんな格言がある、、、
さてここから難易度をググッと上げていくが、この続きはまた後日公開とする。
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