Typography - 2025 -
Myriadはフォントの王様の一つにも数えられるFrutigerの類似フォントです。本家にとても良く似ていますので「明快で力強く、やわらかな」素晴らしいフォントです。Appleがかなりの期間コーポレイトフォントとして採用していましたが、残念ながら現在MacのOS自体にはバンドルされていません。分類的にはヒューマニスト・サンセリフ書体に属します。小塚ゴシックのラテン(ローマ)文字はこのMyriadから採用されています。
ちなみに類似元の書体であるFrutigerをデザインしたアドリアン・フルティガーさんご本人の(Myriadに対する)評価は「悪くない」というものでした。そりゃぁこだわりがありますからね。(差異は僅かですが)私も本家のほうが好きです。
フォント名 | ウェイト |
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Myriad Pro | ウェイト各種、コンデンス体、エクステンド体、イタリック体合わせバリエーション総数40種類 |
Adobe fontsでは、Garamondのページでも紹介したロバート・スリンバックがデザインを担当したMyriad Proが利用可能で、40種類という多彩なバリエーションが収録されています。
ちなみにAppleのコーポレート・フォントの流れもGaramond → Myriad(2017年まで)となっています。
豊富なバリエーション(全ウェイト)の中でも特に魅力的なのがSemiboldでしょうか。
デザイン事例ではSemiExtended体も使ってみました。イタリック体を含めフルティガーさんがどう思っているかはさておき、こんな感じになります。ややどっしりとしてますね。
次のイメージは、通常のBold体を使用したデザイン例です。正直なところ、Myriad(Frutiger)向けの素材(イメージ)ではないのですが、全フォントで同じ素材がテーマですので、なんとか当ててみました。
原型となっているFrutigerはもともと空港のサイン用に作られたフォントでしたが、その明快さの中にも、流動性というか、体温のようなものも感じられる点がAdobeやAppleのデザイナーにも響いたのでしょう。私もとても好きな書体です。
ここで純粋な問いかけになりますが、素直な感覚として、このFrutigerやMyriadの魅力をキャッチできるでしょうか?
こういった感性はデザイナーとしてのバロメーターだと思います。
「Appleが使っているから自分も使う」ではただのマネごとであり、このフォントに魅力を感じたのだけど、後から「Appleがコーポレイト・フォントとして採用していること」を知った、というくらいがホンモノだと思います。
書体は「有名だから使う」ですとか「ファッション誌はこれが多い」という理由で無理に(同じものを)採用するモノではありません。
では、「どのくらいで習得(誰に頼ることなく魅力をキャッチ)できる(ようになる)のか?」という問いかけに対しては、別のページでお話ししたいと思いますが、端的に言うと(Optimaのページでも軽く黄金律にふれていますように)プロポーションを見ていますので、5年10年というレベルではありません。(特に書体紹介の多くのページでは長い歴史を語っておりますでしょう。タイポグラファーさんの研鑽期間もそれはもう長期に渡っています。)
Appleはその後、Apple Watchなどの存在もあり、ユニバーサルな観点からコーポレイト・フォントを(このMyriadから)San Franciscoに移行しましたが、こちらもまた絶品でした。