丁度可知差異:Just Noticeable Difference

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UI・UXエクスペリエンスJNDと行動経済学

Behavioral Economics - 2020 - Three Philosophers

行動経済学の根幹となるプロスペクト理論における価値観数は損失に対する反応の大きさだけではなく、利得においても損失においても「長く体験が続くと次第に反応値が鈍化する」という感応度逓減性を示していた。リチャード・セイラーはこの事実に関連して、丁度可知差異(Just Noticeable Difference)という、感情のしきい値のようなものにも注目した。

丁度可知差異

48,500円の液晶モニターと3,500円のラジオ。この二つの商品のうち1,000円値段が変わると、大きく心理が揺さぶられるのはどちらだろう。もちろんラジオのほうだ。この感情のブレに影響を与えているのが丁度可知差異(Just Noticeable Difference)なのだ。

ウェーバー・フェヒナーの法則

有名なウェーバー・フェヒナーの法則では、丁度可知差異は変数の大きさに比例するとしている。自分の体重が30グラム変化しても気づきようがないが、ハーブを買うときはその30グラムの差にあきらかに気が付く。同様に、ラジオの値段は安いから丁度可知差異も小さいため、同じ1,000円でもより反応を示すということだ。

まとめ

丁度可知差異(Just Noticeable Difference)、略してJND。リチャード・セイラーはカクテルパーティで「JND」という言葉を使いながら話しでもすれば、心理学者からのおぼえも良くなるだろうと冗談めかして語っている。私はUXデザイナーとして「何をどれくらいやれば良いのか」といったバランス問題の調整や判断に時間を費やすことが多い。このJNDはセイラー氏が語るようにUXチーム内で流行らせても良いくらいの大切なキーワードになりうるだろう。「会費を上げたい?」「それはユーザーにとってJND以下だから採用で良いのでは」といった会話はとてもかっこ良く響くしズムーズだ。日本ではビジネスのフレームワークも欧米に右へ倣えの状態だから、新しいスコアリング方法などを考案すればあっさりと第一人者になれるような気もしている。まぁ、これ以上はあまり教えたくないから、ウェブ版ではこのへんで失礼する。