Typography - 2025 -
Snell Roundhandはマシュー・カーターが書家のチャールズ・スネルのラウンドハンド体に感銘を受け、それをモデルに制作したスクリプト書体です。18世紀前後に起源をみるカッパープレート・スクリプト書体の部類に入り、銅板にスーッと入れていくような細い線と右への大きな傾斜が特徴です。
フォント名 | ウェイト |
---|---|
Snell Roundhand | Regular, Bold, Black |
Mac Os SierraにはSnell RoundhandのRegular, Bold, Blackの3つのウェイトが収録されています。ウェイトによってかなり表情が変わりますが、細い部分はウェイトが変わってもそのままです。大文字だけですと視認性・可読性に欠ける(※)ような気がしますが、小文字を組み合わせることで読みやすく、そして美しい見た目になります。
※カーター氏は、スクリプト体には使い方のルールが一つだけあり、それは「大文字だけで組まないこと」と語っています。(参考:欧文書体2 定番書体と演出法/小林章著)
デザイン事例の他、読みやすく上品なこの書体はラルフ・ローレンなど様々な導入事例があります。企業として大々的に導入するような仰々しいフォントではないような気もしますが、バランスが良い分アクセシブルで、素晴らしいフォントです。
カーター氏はGeorgiaなどスクリーンフォントの制作者としても有名で、「可読性の味方」とまで呼ばれるほど、書籍や新聞の本文(など)で使用される書体デザインに定評があるそうです。カリグラフィは専門ではないとのことですが、書家のチャールズ・スネルが提唱する「Standard Rules」という教則の規律正しさにも惹かれたそうです。また、カーター氏の実父のハリー・カーター氏は有名な活字研究家ということで、カーター氏の素晴らしいバランス感覚は、その努力と家系に伝わる感性の両面に裏打ちされているのでしょう。