サンクコスト効果(コンコルド効果)

UI・UXエクスペリエンスサンクコスト効果

Behavioral Economics - 2018 - Three Philosophers

コンコルドの誤り(サンクコスト効果)とは、成果があがらないと分かっていてもプロジェクトを断念せずに、運用を継続してしまうなど、無益なことにしがみついてしまう心理状態のことだ。コンコルドとは1976年に運用を開始した超音速旅客機のことで、コスパの悪さや環境面への問題などから、運用停止しかあり得ない状況だったにも関わらず、責任問題の回避などのため、2003年までの間運行が継続されてしまった、商業的失敗の典型的モデルだ。

捨てなくてもよい状況が一番危険

例えば、目の前に砲弾が迫っているとしたら、身を守るための行動をとる(プロジェクトを断念、放棄する)だろうが、この旅客機のプロジェクトの場合は、責任回避が可能な状況が、長期運用に繋がってしまったのだ。一見余裕のある状況こそが損失を長引かせてしまう一番のリスクなのである。

ゲームと称号

長期間継続し、ゴールなどが迫ると、損失のほうが大きくても状況をクローズすることが難しくなる。例えばポイントがたまるとランクが上がるシステム。ランクが上がれば条件も厳しくなるが、特典のためというよりは名誉のために無駄な努力を重ねていく。ウェブのビジネスでも実益なき「名誉」を追わせてコンテンツを形成していくビジネスモデルがあるが、人間の感情は無駄にややこしいところがある。

ログイン画面の例

上のイメージのように、アクセスした瞬間にアイコンやメッセージで実績を表示されると、「名誉」はなかなか捨てられない。

損失も計算する

例えばゲームセンターにあるコインゲーム。状況的には利益が見込めなくても、自分が投入したメダルがそこら中に転がっているわけだから、「ここで引けない」と考えてしまうものだ。埋没した費用(sunk cost:サンクコスト)が多ければ多いほど、「もったいない」という感情も強くなるわけで、その場を去るのは容易ではなくなる。

損失が少ない場合

小学生の頃、すいかを丸ひとつ目の前で落としてしまった友達がいた。ぐしゃりと割れて地面に飛び散ってしまったわけだが、その子は表情一つ変えなかった。なんとそのスイカは、下校の途中で見知らぬ業者さんから貰ったものだったそうだ。珍しいこともあるものだと思ったが、両親や自分の出費だったら、割れたスイカを見た瞬間に、泣きじゃくっていたことだろう。あきらめの心理にはサンクコストが大きく関係している。

まとめ

悲しいかな、この人間の心理はビジネスシーンで利用されている。シンボリックで名誉感を醸し出すもの、目に見えたポイントという数値、長いゴールまでの道のりを表示する工夫など、様々な手法が固定ユーザーの獲得、維持・運用に繋げられている。「もったいない、引けない」という感情にかられたユーザーはコンコルドを長期運行することになるのだ。