Psychology - 2018 -
ダニング・クルーガー効果では、人間の自己評価時の特徴を、「実力が低い人間ほど自分を実際よりも高く評価し、実力が高い人間ほど自分を実際よりも低く評価する」としている。
下のイメージはダニング・クルーガー効果を図に表したものだが、物事を知らない段階の自信の大きさは、熟練者のそれを大きく上回る。社会に出れば、あまりに「自分が見えていない人」の多さに気付くだろう。そういった人たちはいつも高揚していて周囲をしらけさせている。日本、いや世界が精神・文化面で冷えびえとしている要因の一つだ。
自分をいくらかでも客観視できないと、自分が住んでいる世界の(ダニング・クルーガー効果における全体像の)半分すら実感できない。成長し、自分を磨き経験値を上げていけば、それが人生であれ、学問であれ、過度の自信は消えていき、研鑽と段階を経た上昇の過程へと移行していく。中級から熟練に向かうあたりから、本当の意味での自信の構築が始まるが、それはとても緩やかなものだ。
能力の劣った人間が自己評価を間違う一方、能力に長けた人間も、他者の評価を高く見積もり、自分の評価を低くしてしまう傾向があるようだ。ダニング・クルーガー効果の図において、熟練者の自信が控え目なのは、そういったバイアスが働いているからだ。
こういった混沌とした時世にあっては、自信が無さすぎるのも困ったものだろうから、努力を重ねて、自分を高く見積もっていくことも大切だろうし、あまりにおかしな人間と遭遇した場合は、クレームをつけるなどの実際的なアクションも必要になってくるだろう。おとなこどもは多い。冷静に前を向こう。