根本的な帰属の誤り | 認知バイアス

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UI・UXエクスペリエンス根本的な帰属の誤り

Psychology - 2018 - Three Philosophers

認知バイアスの代表格である、「根本的な帰属の誤り」について考えてみよう。根本的と冠されているのは、帰属の誤りにも複数の種類があるからだ。そのどれもが事象を正しく見つめられないことに起因している。

ケース1

とある不動産物件の管理者が、担当物件の清掃を業者へ丸投げし、物件の汚れに数か月気づかなかった。この間、居住者からクレームを入れられるのだが、この居住者が以前も別件でクレームをいれていたため、自分に嫌がらせをしていると思い込んでしまう。これは「状況」よりも「気質面」に執われて正しい判断が出来ない「帰属の誤り」に該当する。後に証拠写真で自分の管理怠慢に気づくのだが、すでに居住者に失礼なメールを返信してしまっていたために、大きく信頼を損ねることになる。

システム1という思考、簡略化システム

思考の偏りというよりは、プロセスの簡略化という人間本来の脳の働きにも原因があるようだ。自分に都合が良い人は、「早く問題を解決しようとする」人間本来の思考回路にも影響されやすい人だとも言えるだろう。「俺は悪くない。あのクレーマーがおかしい」と決め込み、失礼なメールを返信してしまった不動産業者は、その代償も小さくないだろうが、「状況そのもの」にまっすぐに向き合うスタンスが取れず、原因への対処が正しくできないこと、また、そこにいたる初期段階の思考の誤りを、心理学では「根本的な帰属の誤り」と呼んでいる。

バイアスの領域を減らせば良い選択も出来る。

逆に、先ほどの不動産業者が、誠実に(間違いのない)対応をしたものの、ズシリと責任を抱え込んでしったケースを考えてみよう。実はそれも 「過度の責任帰属」という帰属の誤りの一つに該当するのだ。「自分に責任がある」というのは、どちらかというとネガティブな思考であるから、自分の偏った思考をよく見極めて最良の選択をする「潔さ」も必要だ。

まとめ

もちろん、人間はすべてのことに冷静に対処できるわけではない。心理学の及ばない状況もあるだろう。ただ一つ言えるのは、経験の蓄積により、問題に直面した時の視野が、確実に広がるということだ。人間が陥りやすいバイアス、思考回路の単純さなどを考えてみると、よりシンプルなコミュニケーションの構築が出来るかもしれない。