カスタマージャーニーマップ

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UXデザインマーケティングカスタマージャーニーマップ

Designer - 2020 - Three Philosophers

近年、顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス )という言葉が台頭してきている。このサイトはUX(ユーザーエクスペリエンス)を主軸にいろいろ書いているが、プロダクトデザインの世界においても、単機能のみを直線的にデザインするだけではなく、サービス全体に目を向けて戦略・戦術を考案することが求められるようになってきた。カスタマージャーニーマップは、様々なサービスと顧客の関係をひとつの旅(ジャーニー)と見立て、その体験を可視化していく。

カスタマージャーニーマップに必要なもの

カスタマージャーニーマップはそんなに難しく考える必要もないし、むしろあまり難しくしては機能しなくなる。なぜなら、分かりやすく顧客の体験を表現し部署間で共有するのが主たる目的だからだ。上司のいないミーティングで毎度居眠りしている社員の目を覚ますような、美しくインパクトのあるフォーマットが望ましいだろう。以下に典型的なサンプルを紹介する。

カスタマージャーニーマップ

(1)がメイン領域でサービスと顧客のタッチポイントを打ち、気持ち・満足度の変化を表現する。(2)で行動を分かりやすく区分化。(3)には顧客の気持ちをある程度具体的に記述。(4)には顧客の考えの大きな変化で、製品仕様の決定に直結するファクトなり仮説なりを書いている。(5)このジャーニーマップのカスタマー属性。

実際のところ(1)のエリアに施策のアイディアを直接書き込んでしまっても良いし、(2)以降の項目に関しては完全に任意だ。顧客(ユーザー)像は一人に限定することなく、例えばリテラシーレベル分のユーザーを定義するなどして、何通りかのジャーニーを表現したい。また、顧客のニーズインサイトを幾ばくかでも表現できていると、施策立案時のアイディエーションが捗(はかど)るので、上図の(4)のように、なにか一工夫してドキュメントに花を添えると良いだろう。なお、ニーズやインサイトという言葉は業界的にややこしい定義がされているのに加え、UX分析からプロダクトへの落とし込みを専門領域にしている人にとっては業務過多になりかねないので線引きは必要だ。

包括範囲

カスタマージャーニーマップが包括する範囲はいわゆる浅く広くで構わない。戦略パターンの解説ページでも述べているが、課題のスコープを絞る際はユーザーストーリーマッピングを用いて、抜け目なく施策立案をしていくのがUXデザインの流れになる。

カスタマージャーニーマップはプロジェクトの最初期に作成し、必要であればアップデートしながら、戦略・戦術の羅針盤のような存在にしていこう。ビジネス上の様々な機会や可能性は、クラシック音楽のフーガのように幾重にも折り重なり変化していくわけだから、臨機応変に各タッチポイントと戦略・戦術を結び付けていくことが要求される。また、UXデザインは経営手法でもあることから、当然その監督範囲も広くなってくる。実際、グロースハックマーケティングにおける、リテンションや収益化といった顧客体験の後半部分に施策を紐づけていくことも多い。そのためカスタマージャーニーの全体像を常にアクセシブルな状態にしておくことが望ましい。

ペルソナ

ユーザー特性ペルソナについての深い話は割愛するが、このペルソナというのは実に厄介だ。それは、仕事のできない人にかぎって安直に口にするワードの最上位(浅くとらえられている代表的な概念)であるからだ。

そもそもカスタマージャーニーマップを作成するのに必要なのは、簡易ペルソナ、つまりは仮説であることもあり得るし、綿密な情報、ファクトを基にした正規のペルソナである場合もある。この選択によって、ジャーニーマップの性格も変わり、ビジネス展開も大きく変わるだろう。肝心なのは、特定の時点でどのタイプのペルソナが必要かということと、その形成(収集)方法である。ミーティングなどで「ペルソナ」という言葉が出たら具体的なコミュニケーションを図るようにしよう。

まとめ:ドキュメントの重要性

対ステークホルダーに自分の意見を分かりやすく伝える必要があるのは、経営者もプログラマーも営業も同じである。しっかりと自分の担当領域とその筋道を伝えるために、ドキュメントも一定のレベルまで高める必要がある筈だ。 もちろん私はデザイナーとして長い間本質と向かい合って生きてきたわけだから、表現力そのものも人の何倍もあるだろうが、色調や空間(パディング)を少し工夫するだけで、かなり見栄えはかわってくるだろう。

そしてこれは美的感覚の問題だけでは済まされない。有名なコンサルティングファームから出向してきた方のドキュメントがこれまた酷かった。パワポやエクセルシートにまとまりのない考えが貼り付けられてあるだけの、あわれにさえ見える代物だった。今後はコロナ禍などにより、コミュニケーションのあり方も変わってくるだろう。何よりまず物事を深いレベルで捉え、それを人に伝えるスキルがますます求められてくる筈だ。カスタマージャーニーマップような事業の概略くらいはそれとなく表現できるように日々励んでいこう。