ユーザーインサイトと仲間たちのインサイト

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UIUXBusinessインサイトを読む 1/2

UX Designer - 2020 - Three Philosophers

インサイトやニーズという言葉は、IT系の仕事や、マーケティング分野で、毎日のように飛び交っているキーワードだろう。「おはようございます」や「お疲れさまでした」は一日一度のみだろうが、こういった言葉の呪縛は君をなかなか離してはくれない。仕事的にはベテランの域にさしかかった私でさえも、ふとしたことからユーザー像がぼやけてきたり、そもそも苦手な案件もあることに気付くようになってきた。

ニーズとインサイトの違い

ニーズというのは、文字通り、何かが必要だと感じていることである。インサイトは本人自身が潜在的に抱く希望や欲求だろう。「家が欲しい」がニーズ。展示場に行って「こんなに素敵なんだ」と新たに気付く部分は、インサイトに近い。

ユーザーインサイトと忖度

最近流行っている忖度という言葉。これは遠慮というか、優しさというか、弱さというか、それこそインサイトに内包された様々な要素がそれとなく表面化する瞬間である。人間はほとんどの場面で忖度大歓迎な筈だが、まじめに本音を探ろうとすると、この忖度のおかげでとても苦労することが多い。製品紹介のページでお客様の声が掲載されていることがあるが、「とても役立っている」と答えてくれた顧客が、データ分析の結果、ログインすらしていないこともあり、特に面と向かってのインタビューではためらいを持つこともあるのだろう。出来る限り正確なインサイトを拾いたいのなら、ユーザーインタビューには工夫が必要だということだ。ニーズをヒアリングするのももちろん大切だが、我々からも相手からも何かしら未知の部分が引き出されていくようなインタビューにしたい。

とにかく、ややこしい人間の心理

行動経済学にはホモエコノミカス(エコン)という言葉があって、こころを持たない生物学的な存在と経済を結びつけている。その世界には価値観の違いや感情の起伏などは存在しない。結婚記念日に食べた2,3万円のディナーを「ひどく高価な」食事とみなしてしまうのだ。しかし実際のところ、我々のこころははげしく揺れ動いている。給与明細に500円上乗せしてあっても気づきもしないのに、500円で買ったプチトマトが腐っていようものならひどく勿体なく感じたりするだろう(プロスペクト理論)。 インサイトをさぐることは容易ではない。我々ヒューマンは、実になまけもので、しかし一方で過剰であり、900円の商品より995円の商品に「手の出しやすさ」を感じたりと、よく分からない部分も多い。マーケティングには有名なスコアリング手法なども存在するが、刺さる商品の開発はアイディア勝負になる部分も大きい。

仲間や上司のインサイト

悲しいかな。働くということは良い製品を作ることだけではない。仲間、上司、役員と喜ばせるべき対象は多い。それなりの仕事・職場であれば、全く空気が読めないような人はいないだろうが、物分かりのよくない上司、自信のない若手、忖度ばかりの社員など様々だろう。ふとした時に表情や行間にみせる「本心」をしっかりと掴み、立ち振る舞いや、予防的な行動に繋げていければ、自分の立場はそうは悪くならないのだが、多くの方たちがこの「洞察」と「行動」で思いのほか苦戦している様子だ。ハッキリ言うとこの点はテクニックなどはないのだが、やはり技術的な面、戦略的な面と必要なことは深く追求し「自信」をもつことがインサイトの見極めに繋がるのではないだろうか。プロダクトを作る側が理解しあわなければ、カスタマーのインサイト発掘も覚束ないのだ。

ダメなプロダクト、救いようのない製品

さて、様々な角度からインサイトをさぐっても成果が見えにくい製品があることも忘れないで欲しい。言ってみれば、そこそこは売れても機能や魅力が足りないがために、伸びしろが少ない製品群だ。たとえば吉野家が(2019年初頭時点で)小盛や超特盛などをヒットさせたと言っても、根本的な認知度やコスパの問題もあるだろう。スタートアップやキャズム手前の弱小企業はマーケティングやインサイト深堀りなどの以前に、MVPモデルは優れているか、ホールプロダクトはどのように設計・予測されているかなど、細かで堅実な手直し見積もり・実装が必要だ。残念だが、机上の空論タイプのプロダクトオーナー(脳内が大手レベルに飛躍していたり・・・)もたくさんいるし、一部のステークホルダーはやみくもに成果を求めようとしてくるから、その都度製品開発を促したり、可能な限り開発フローに参加してもらうと良いだろう。

次のページでは、もう少しユーザーインサイトを深堀りしていこう。